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愛犬は我が子も同然!?
愛犬に話しかけるとき、ついつい”赤ちゃん言葉”になってしまう方、多いのではないでしょうか。
人間の幼児における近年の研究では、いわゆる”赤ちゃん言葉”で話しかけられた方が、子どもたちが早く言葉を覚えるという研究結果が報告されています。
では、突然しゃべり始めるといったことがない犬の場合、何か効果があるのでしょうか。
犬に赤ちゃん言葉で話しかける効果は?
2018年にイギリスのヨーク大学の研究者によって発表された研究によれば、犬に赤ちゃん言葉で話しかけると、大人言葉で話しかけるよりもよく反応することが分かっています。
ヨーク大学の研究者たちは、犬に2つのスピーチ・テストを実施しました。
1つのテストは、他の大人と話すのと同じ会話のトーンで通常の話題に関するもの。
もう1つのテストは、研究者たちが「犬向けスピーチ」と呼ぶ、おやつや散歩など犬に関連する話題について、いわゆる"赤ちゃん言葉"で話しかけるものでした。
2つのテストの一貫性を保つために、それぞれのテストは録音した音声を再生する形で行われました。
2人の実験者が自分の録音した声を再生するスピーカーを膝の上において座り、そこにリードで繋がれた犬を部屋に入れ、音声を再生している間に犬がそれぞれの実験者をどれくらいの時間見ていたかを測定しました。
そのテスト後に犬のリードを外し、犬がそれぞれの実験者とどのくらいの時間を過ごすのかも測定しました。
その結果、赤ちゃん言葉で音声を聞かせた犬のほうが、音声を発している人をより多くの時間見ており、その後もその人と一緒に座っている時間が長いことを発見したのです。
おやつや散歩など犬に関連する話題についての会話が犬の注意を持続させたのではないかを確かめるために、次のテストが行われました。
犬に再び音声を聞かせるのですが、今回は”大人言葉” / "赤ちゃん言葉"といった話し方と、犬に関連する話題 / しない話題といった関連性をなくします。
ある音声再生では、赤ちゃん言葉で犬に関連しない通常の話題が組み合わされました。
もう一つの音声再生では、”大人言葉”で犬のおやつや散歩について再生されました。
そしてこのテストの結果として、犬はおやつや散歩といった犬関連の話題に対してだけ関心を示しているのではなく、犬の注意をより長く保つためには”赤ちゃん言葉”と犬関連の話題の組み合わせが必要であることが分かったのです。
1つ疑問が残るのは、このテストから分かった傾向が、先天的な要素を持っているのか、後天的な学習によって身に着けたのかということです。
多くの子犬は生まれつき甲高い音を好む傾向があります。
そして、おやつを与えてもらうときや注意を向けてほしい時に人は高めの声の赤ちゃん言葉を使う傾向があるので、犬は赤ちゃん言葉との関連性を学んでいるのかもしれません。
最後に
私たちは、実際には人間の赤ちゃんと話すのと同じように犬と話すことはないという過去の研究もあります。
赤ちゃんに話すときと犬に話すとき、どちらの種類の話し方も会話のピッチとイントネーションが似ていますが、犬に話しかけるときには、人間の赤ちゃんに話すときの母音の誇張がありません。
赤ちゃんやペットと話すときの話し方はわずかに異なり、それは非常に洗練されています。
つまり、私たちは自分の愛犬を自分の赤ちゃんと勘違いしてしまっているわけではないのです。
私たちには、話し方を聞き手の潜在的な言語能力に一致させる無意識の能力があるということであり、自信を持ってあなたの愛犬に”赤ちゃん言葉”で話しかけてあげてくださいね。